室戸岬の先端からちょっとだけ北上したところに、御厨人窟(ミクロド)という海蝕洞穴がある。
引きで見るとわかるが、でーーーーーーっかい岩の裾に、太古の昔は打ち寄せていた潮が穴を開けたわけである。
こういう感じ。今は入り口に崩落対策で鉄筋の防御屋根がほとんどセンスを感じられない感じのやっつけで取り付けられていて景観をぶち壊している。
穴は二箇所あって、左が御厨人窟、右が神明窟と呼ばれている。
ヤング空海は御厨人窟に居住し、神明窟で行に勤しんだらしい。
当時の海面はもっと上まで来ていたので、打ち寄せる室戸の豪快な波「ザッバーーーーーーン!」を前に、ひたすら瞑想したのだろう。
ここで虚空蔵求聞持法を習得して、「佐伯真魚」ちゃんは「空海」になったのだ。
中に入るとこういう感じ。
写真ではわからないが、岩から染み出した水がものすごい勢いで落ちてくる。
「岩から出る水」は一つのカギを握っていると思う。
というのは、先日の長崎、キリシタンの聖地だった「中江島」について調べた時にも感じたこと。
中江島も、柱状節理の島で、節理の岩肌に向かって「オラショ」を唱えると水が噴き出してくる。その水を採取して洗礼や家内の魔除けに使ったという。
まあ、要するにそれこそが「岩清水」なわけだ。
ちなみに柱状節理「七ツ釜」も「芥屋大門」でも同様に、内部は水がポトポト落ちていた。
そのような水は、そこを通る岩の性質、含有される鉱物の成分を含んでいるわけだから、それを体内に取り込むことによって、肉体にはなにがしかの作用があるに決まっている。
というか、それははっきり言って今でいう「脱法ドラッグ」のようなもので、「適量」の加減さえ誤らなければ、それなりの強力な精神作用を得られたものと思われる。
で、空海は鉱物に、その力があることをよくよく知り抜いていたのだろう、と推測しているわけだ。
「岩に夢中」なわたしとしては、だから、この岩の鉱物成分が気になって仕方がない。
この翠色が示すものは銅かな。。。。
マニアしか喜ばないだろうけど、この結晶の美しさを見て〜〜〜!
四国は水銀鉱脈だらけだ(ちなみに水銀鉱脈は中央構造線に沿って多く見られる)。
徳島県阿南には日本最大の水銀生産拠点の遺跡が見つかっている。
国内最大、最古級の「水銀朱」生産拠点、縄文後期の加茂宮ノ前遺跡
けどこの室戸岬の付近に水銀鉱脈はあるんだろうか?ネットで調べる限りでは見当たらない。
じゃ、なんで彼はこの場所を選んだのだろう?
でも、
(仮説1)もしこの岩清水がどこかの鉱脈の成分を運んできているとしたら?
(仮説2)阿南の水銀が、船で運ばれてくる手はずが整っていたら?
答えは謎。
ところで、穴の奥から入口を撮ったら、
「やだ!梵字が写ってる!!!!」とひっくり返りそうになったけど、いやいや、冷静にただの乱反射ですからー(笑)
あー、そうだ、そういえば!
岩清水で濡れていない洞窟外側の岩はまるで「ルルド」だった。
この下から湧き出す水も、ルルドの泉的なものかも知れないね。
ちなみに、御厨人窟の前を通る道路の下は海で、そこには空海が行水に使ったという池がある。
これは海面ギリとはいえ、真水だったそうで、宿泊したホテルの庭先にも、同様に真水が湧き出してくると言っていたから、伝説は嘘ではないのだろう。
要するに山からの伏流水だ。
0 comentarios