ひょんなことから、田谷の洞窟に行ってきた。思えばほぼ10年ぶりだけれど、好きな場所だ。
そしてまた、以前とは違った発見をすることができた。
ところで田谷の洞窟っていうのは、大船(行政区分では横浜市)にある一枚岩の中の人口洞窟で、成立時期は謎。真言宗のお寺が管理している。
鎌倉時代にはすでに何らか存在していたと言われている(が、詳しいことは何ひとつあきらかではない)ので、ざっと1000年ぐらい前から、いくつかの時代に渡って手彫りされた、地下洞窟。
地下世界に3層構造、11のドーム(天蓋、キューポラ)、全長570m 。でも、本当はもっと長いのでは?発掘されていない部分があるのではないか?とも思う。
サテライト地図で見ると、もともとこの森は古墳だったんじゃないか?とか、いろんな妄想が膨らむ。
「修行道場」としての扱いで、内部は撮影禁止だからyoutube上に見つけたこの動画で雰囲気を見てください。
以前、この洞内で「阿字観」(真言宗の瞑想法)に参加したことがある。
まさに10年前。
それは素晴らしい体験で、瞑想中、わたしは何度も頭が斜め上空の方に引っ張られる感じを得たりしたものだったが、当時は「阿字観」の奥義というか、
だから何なの?
の部分は全くピンときていなかった。
今は体験的実感とともに、それがいかなることなのか、とてもよくわかるようになっていることにも、ふと我に返って驚きと感慨を感じる。
いやー、この洞窟内での阿字観、今ならどんな風に感じることができるか、こーゆーご時世、開催していらっしゃるのかお寺に尋ねると、「それはもうやっていません、、、」と。
指導してくださったご住職がお倒れになったからだと聞いて、
「え!!!」と声を上げると
「でもまあ、もう95ですから」と言われ
あれ?じゃあ、わたしが知ってるあの方は別な方なのかな?と、特徴をいうと、「そうですそうです。若く見えたと思いますが、そうです」と言われて
心底狐につままれた気分になった。
だって、10年前のあの当時、50後半か、もしかしたら60代ぐらいか???
と思っていたわけで。実際はその時点で80オーバーだったということか!!!
かなりの衝撃を受けていると、お寺の奥さんは
「呼吸法は本当に大事みたいですね」と仰って、あまりの説得力に言葉もなかった。
一度しかお目にかかっていないけど、べらんめえでぶっきらぼう、サバけていて厳しくもあり、でもユーモアと、何より大きな徳を感じさせる方だった。
ああ、お坊さんてこうなんだな、、、、と思わせてくれるような。
もっと頻繁に通うべきだった。悔やまれる。。。
で、 洞窟だが、
修行の場であることはもちろんそうだが、洞内に巡る「水」を見ていて、ここ全体が大きなエネルギー装置なのだろうなということを感じた。
何かの象徴としての「水」ではなく、水の力そのものをきちんと利用することが、「宗教以前」の目的だったのではなかろうか。
それから崩落を防ぐ意味で、板屋根が取り付けられている箇所がいくつもあるのだが、そこには無数のつらら状になった鍾乳石を見ることができた。
よく1センチ伸びるのに数千年などと言われるが、本当にそうなのか?と疑わざるを得ない。
よく観察すると、まず菌のようなものが表面に出来、そこに水が伝って結晶化していく。
菌だよ、菌。
菌は物質化、石灰化させる礎。
全体的に澄んだ空気が充満する洞窟の中でも、「高野山奥の院」と称された間はとりわけ気に入った。
なんだか知らないけど、ものすごく清浄なものを感じた。金剛水が湧き出ているせいもあるだろうけれど。
観光地化されていないせいで、みんながこの価値をどこまでわかっているか疑問だが、ずっと残して欲しい場所だ。
わざわざ行く価値があると思う。
それなのに周囲には無用な道路が新たに建設されようとしている。
洞窟のある森にも影響が出るのは間違いないだろう。
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