世界的大ベストセラー『アルケミスト』が世に出たのは、わたしがまだ20代になったかならないかの頃で、その本はある日友だちから贈られたが1ページも読むことなく、今も実家の本棚にある。
ついでに告白すると、当時のわたしは山川夫妻の翻訳するすべての本(のジャンル)を敬遠していた。
その本は今日に至るまで、全世界で3億2000万部売れているというから凄いことだ。
ただ、今になったら『アルケミスト』を読んでみてもいいなと思うものの、毎月数十冊の本を買うわたしゆえ、出番はこない。
先日、新たなエッセイが刊行されたことを知り、今Kindleで読んでいる。
とても良い本だと思う。
文章が上質だ。
死というもの、死ぬこと、に関してわたしも全く同様の考えを有しており、深く共感するところである。
正直、この感覚を共有できるかできないかはわたしにとってとても大きい。
ところで、『アルケミスト』は読まなくても、彼についてまったく無知というわけでもない。
だいたい、どういう人かはわかっている。
ああ、そうだった。ブラジル人なのだ。
読み進めていくうちに、何かちょっと不思議な感覚を得ている。
これはエッセイ集だから、いろいろなエピソードが短く、質の高い文章にまとめられている。
あるエピソード(どこと明言するのはやめておく)の項で、何かの感覚を得ているが、
程度の悪いキラスピのように、すぐに安易な意味探しをすることはしたくない。
(皆さんも、ご自身に何かが起きた時、そういうことはやめたほうがいい。本質を見損なう)
しばらく、この感覚を、深いところで味わってみようと思い、
急いで読了に向かうのをやめて、一旦ページを閉じたところだ。
とても良い文章なので、一読して損はないと思う。